私は大学にいけなかった

なぜなら、大学入試にうからないほどアホだったからである。
そんなアホからすると、大学というところはいかにも人生を謳歌してそうな青年がブックバンドで本を束ねて広くて日当たりのいい芝生の中庭で昼寝をし、そんなよこでロングスカートで長い黒髪のお姉さんが座っている、わたせせいぞうさんの描く絵のようなユートピアであると信じていた。
大きな講堂で講義を受け、休みたいときは代返を頼み、その一方でノートを売ってデート代の足しにする。いつもはろくに授業も出ずに遊びほうけ、テストとなれば一夜漬けでなんとかしてしまう。そうやってヨロシクやる場所であってほしいと願っていた。

もちろん彼らは美しいだけではなく頭脳も明晰であり、人格も明朗であり、完全無欠のスーパーマンであるのだ。腐っても日本の最高教育機関なのである。一流企業に就職することは当たり前であり、年収も日本人の平均収入のはるかに上を行くことは確実なのである。大学とは約束の地へたどり着くことが確実な、選民達のパラダイスであると思っていた。

しかしながら、現実はそう甘くはないようである。
少し、悲しくなった。
せめて、頭が良すぎてラリってしまい、結果として社会常識からはずれてしまう。
そんなヤツもいる場所であってほしかった。

幻滅である。
いかに、私の大学への幻想が文字通りのものだったとしても。