ありがとうジーコ

貴方を始めて見たのは、恥ずかしながら日本のJリーグの試合ででした。鹿島アントラーズの開幕戦、アルシンド選手のハットトリックを演出した芸術的なセンタリングのときでした。
あのシーズン、貴方は常にプレーをしたわけではありません。後ろからチャージをしたディフェンダーに我を忘れて怒り、PKのボールにつばを吐いた姿もありました。
でも、今思えば、日本で貴方がプレーしていたところを見ることが出来たのは幸せでした。
日本のサッカーファンが見た夢。それを、ファンと一緒に見ることを引き受けてくれた貴方に、今は感謝しかありません。
出来るなら、メロスのように貴方に謝りたい。貴方を一瞬でも疑ったことを謝りたい。
次に貴方に会うのは、クラブチーム選手権でしょうか。あるいは、かつてのアントラーズのような小さなクラブを貴方の力でトップリーグに昇格させて、日本の新聞に小さく記事に載るのでしょうか。いつかセレソンを率いることがあるのでしょうか。
「私が率いていたときはあんなに勝負弱かったのに、なんて強いチームになったんだ」と貴方がどこか誇らしげにぼやくようなチームを、われわれはいつか、作りたいと思います。