最高裁はどう出るか

http://www.asahi.com/national/update/1211/OSK200612110003.html

住基ネット訴訟で住民側が逆転敗訴 高裁金沢支部
2006年12月11日11時17分
 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)で住所や生年月日などの個人情報が無断で扱われるのは憲法13条が保障するプライバシー権の侵害だとして、石川県内の住民28人が県と財団法人地方自治情報センターを相手取り、個人情報の削除などを求めた訴訟の控訴審判決が11日、名古屋高裁金沢支部であった。長門栄吉裁判長は「住基ネットが本人確認情報を扱うことには行政事務の効率化という正当な理由があり、プライバシー権を侵害するとはいえない」と判断。住民側の訴えを認めた一審・金沢地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却する逆転判決を言い渡した。住民側は上告する方針。

 住基ネットをめぐる訴訟では、11月30日に大阪高裁で住民側勝訴の判決が出ており、高裁レベルで判断が分かれる格好になった。

 判決はまず、住基ネットで扱う氏名、住所、生年月日、性別などの本人確認情報の利用について「公権力が私生活情報を広範囲に収集し、個人を把握・監視することが可能となり、市民運動への参加など国民の言動を萎縮(いしゅく)させるおそれがある」と指摘。同情報が不当に利用された場合は、プライバシー権の一つで自己のプライバシー情報の取り扱いについて自己決定する権利「自己情報コントロール権」に基づき行政側に個人情報の提供禁止を求めることができると判断した。

 そのうえで、行政側が住基ネットで同情報を利用することの妥当性について検討。住基ネットの目的は住民サービス向上と行政事務の効率化という「公共の福祉」に沿っており、目的以外の利用は住民基本台帳法で禁じられていると指摘し、プライバシー権を侵害しないと判断した。

 さらに、一部住民が住基ネットから離脱することは、全住民の情報がシステム上で利用できるという住基ネットの前提が崩れ、行政による事務処理の効率性が損なわれるなどの重大な支障をもたらすとも指摘。情報漏洩(ろうえい)へのセキュリティー対策については「技術、運用面の対策が講じられており、漏洩の危険は認められない」とした。

 本人確認情報と行政が持つ他のデータベースとを突き合わせる「データマッチング」や、住民票コードを使って個人情報を集める「名寄せ」の危険性があるとした原告側の主張に対しては、「行政側が法律を守る限り実現しない」と退けた。

 今回の訴訟は02年12月、住民側が県と地方自治情報センターに個人情報の削除など、国に損害賠償をそれぞれ求めて提訴。05年5月の金沢地裁判決は「離脱を求める原告の強制参加は憲法に違反する」と判断。全国で初めて住民勝訴を言い渡した。損害賠償の請求は退けたため、国は控訴せず、県と同センターが控訴した。

この判決の流れは、住基ネット賛成派にとっても、反対派にとってもイヤな感じが残る点で公平なのかもしれない。
ちなみに私は住基ネットについては無関心派。あれはただのシステムなので。問題は誰がどう使うか、なんです。